先日の日曜日の午後、プロレスを見に行ってきました。プロレスの興行と言えば体育館や何とかホールといった箱モノを連想しますが、今回の会場は京急杉田駅に隣接した駅ビルの中の吹き抜けの広場でした。買い物客や駅を利用する人が普通に行き来している場所を使って、まさに非日常のエンターテイメントが行われたのです。
私は第2部に間に合うべくウキウキしながら会場に駆け付けたのですが、すでに会場はリングサイドも2階の立見席もすっかり埋まっていました。まずはシングルマッチでリングアナが入場のコールをすると、大音響とともにプロレスラーが普通の買い物客を押しのけるようにエスカレーターを下って登場しました。
まずは真面目そうなベビーフェイスとヒール役のマスクマンの試合です。いかにも反則をやらかしそうなマスクマンがお約束のやりとりと攻防(技の応酬)で観客をひきつけます。ベビーフェイスは軽快に動き回るのですが、技が軽いし、人柄が良いのと素直すぎてだまし討ちにあってしまいます。正義のヒーローが必ず勝つというような戦隊ヒーローもののショーとは違い、そんな万人子供受けする予定調和がここには存在しません。最後はとても恥ずかしい金的攻撃という下品な技で、ベビーフェイスはやられてしまいました。
初めてプロレスを見た子供たちはきっとショックに違いありません。正義がまさか負けるなんて、なかなか教えてくれる機会が無いですからね。全く実に導入が上手いのです。そんなことがすでにわかっている大人の客席には自然とニガ笑いがおこります。
次の試合はタッグマッチで華麗な空中技のオンパレードでは、最近ではプロレスをテレビ観戦でしか見ない私も、やはり格闘技は生で見るのが一番だなと思えました。またボディスラムで板の間のようなリングマットに叩きつけられる時の痛そうな音や、ドロップキックがさく裂した時の痛そうな表情なども迫力満点です。技のキレは普段からのトレーニングのたまものでしょうね。初代タイガーマスク世代の私にも充分に満喫が出来ました。
一生懸命に闘ってくださったプロレスラーたちに、最後は観衆から惜しみない拍手が送られていました。まさに肉体労働者……いや、肉体の表現者として人を惹きつけたのは間違いありません。何かちょっと得した気分になったのは、自分だけではなかったような気がします。
byそんな日曜午後のハンマー